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翌日の昼過ぎに今日の日記を書く。また楽しからざるや。

■ [ニュース] Winny作者の逮捕について (その2)

ということで、それなりに時間があいてしまったけれど、その2です。で、最近いろいろなサイトを見るに、Winny作者は逮捕されてしかるべきだった、という説が(主に法曹関係者の方々から) 出ているようです。権威に弱い私としては、今までの日記内容を全て消して無かったことにしてしまいたい気持ちになったりもしますが(笑)、主な論点に対してだけ、異論を挟んでおこうかと思うわけで。

そのいち。「2chのダウンロード板という、もっぱら違法行為に関する話題が中心の場所で、その利用者の意見を聞きながらWinnyは開発された。だから幇助する意図があった」という意見に対して。ただ単に、それまでP2Pソフト(WinMXなど) の利用経験が多いユーザーといえばダウンロード板に多かった、という現実があった。そして、そのようなヘビーユーザーの意見を聞きながら開発したほうが、ソフト自体のクオリティを向上させることができる、と作者は考えた。この辺りが真相なんじゃないかな、と思います。

どんなソフトを開発するにしても、そのユーザー像を考えること・ユーザー側からの適切なフィードバックがあることは必須です。それが最も得られやすかった場というのが、ダウンロード板だったという事ではないでしょうか。特にWinnyはfreenetのような匿名性を保ちながら、より高効率・安易な運用を可能にしようとした、全く新しいシステムでした。そのような既存に無いシステムを作り上げるには、P2P分野に詳しいユーザーの存在というのは必要不可欠だったわけで、それは(悲しいことですが) 違法行為を行うことの多かったWinMXユーザーだったのでしょう。

そのような背景を考えると、ダウンロード板で開発を行ったという事は積極的な選択ではなく消極的な選択であり、ダウンロード板で開発を行ったこと=著作権侵害幇助の意図があったとはいえないのではないでしょうか。とはいえ、違法行為を行うことの多かったWinMXユーザーの意見を聞こうと考えたのならば、そのユーザーの利用意図は著作権侵害行為にあると予期できた、という考え方もあるわけで、その辺りは裁判官の考え方次第になるでしょうが。

そのに。「意図的に匿名性を上げて検挙されにくいシステムを作り上げた。だから著作権侵害を幇助する意図があった」について。匿名性を上げること=著作権侵害を幇助したとは言い切れません。これは以前からのP2Pクライアントにあった、敷居の高さを下げるためのものと考えることができます。WinMXなどのP2Pクライアントは、接続している相手のIPアドレスを直接知ることができました。そのために、そのIPアドレスへと直接攻撃を仕掛けることも可能でした。事実、そのような問題が一部メディアなどでも議論されていた記憶があります。

そのような敷居の高さがあったP2P技術の敷居を下げ、簡単にIPアドレスを知られることなく、(気分的に) 安心して利用できるようにという意図が暗号化にあったと考えれは、暗号化が即著作権侵害の意図があったとは考えにくくなるでしょう。もちろん、実際にはnetstatを使えば現在繋がっている相手のIPアドレスを知ることはできましたが、無差別攻撃でない限り、実害は受けなかったと考えられます(WinMXで問題になった事例でも、IMの言葉遣いなどがきっかけで攻撃を受けていた、という事が多かったようですから)。また、キャッシュデータの暗号化はfreenetに倣っているものですから、freenetの開発意図と同様に捉えることができます。

以上、二点について個人的見解を示してみました。考えてみるに、Winny作者は当時のP2P界の現状を考慮した上で、取りうるべきベターな選択をしていったという風に思えます。ダウンロード板での公開・意見聴取といい、暗号化・匿名化の実装といい、ベストではないにしろ、現実取りうることの出来る最適解を求めていった結果が、Winnyの開発経緯に表れているのではないでしょうか。

最後になりましたが、改めて私の主義主張を書いて終わりにします。私にはWinnyの作者を擁護する気はありません。客観的に見て弁護できる点・疑問点などを明らかにしておきたいだけです。と同時に、私は権力者・公権力を信用していません。過大な権力を持った人間は必ず暴走します。過去・現在の例を持ち出すまでもなく、それは間違いないものと考えています。そのため、権力者・公権力の発表にはもっぱら(法的解釈からすると70パーセント程度という意味らしいですが) 真実が含まれているとは思えず、常に疑いの目で見ています。そのような人間のため、今回の報道・捜査全般(特にWinny関連サイト運営者までの家宅捜索) に関しては、納得できるものではありませんでした。それ故に、Winny作者を擁護するような文面となっているかもしれませんが、実際のところは擁護するつもりで書いているのではなく、できるかぎり客観性を持たせて書いているつもりです。

……まあ、有体に言うならへそ曲がりで反権力・反権威主義っていうだけなんですけどね(笑)。あと反ナンバーワン主義(ある分野でのシェアトップ企業が嫌い) っていうのもあったかな。って、どうでもいいですね、これは(笑)。

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