IDCFクラウド を皮切りに、GMO クラウド ALTUS(アルタス) が追随したおかげで、月額500円からクラウドサービスが利用できるという、他のクラウドサービスと比較しても安い部類のサービスが始まったなーという感がありますが、同じGMOグループの Server Queen VPS がストレージをSSDに変更してきたようなので、有名な Digital Ocean も含めて、軽く眺めて比較してみた。
各サービスを利用したことはないので(IDCFクラウドはテストがてら触ってるけど)、あくまでカタログスペックとか、ちょっと調べて分かった内容だけまとめてます。もし参考になれば幸い。
日本で価格破壊を始めた立役者。11月14日までに登録すれば、半年間有効の1万円引きクーポンももらえるとか、太っ腹すぎる。仮想マシン2台(+固定IP1個追加) が半年無料で運用できるのはかなりお得。数時間使用した感じでは、仮想マシンの作成や固定IPの取得などが、それぞれ十数秒で完了する速さ。コントロールパネル自体も分かりやすく、動作もキビキビしている。
仮想マシンのレスポンスも高速だし、ベンチマークを取ったわけではないけど、自分が借りている GMOクラウドVPS より反応がいいのではないかと思えた。もちろん、実際に各種サービスを動かしている GMOクラウドVPS と比較するのはフェアではないので、あくまで体感ではという話ではあるが。メモリも1GB確保されており、他の格安クラウド・VPSサービスより多いのも嬉しい。
ただ、スワップ領域が標準では存在しないので、メモリを食う作業をさせた場合が気がかりではある。データディスクの追加は可能なので(1GBあたり月額20円)、そちらをスワップに設定することはできるし(テスト済)、スワップファイルを作成することでも対応は可能だが、その場合はルートディスクの15GBという容量がややネックか。
また、CPUが1CPU(1コアという意味なのかな?) で0.8GHzというのは、CPU負荷の高い用途だと厳しそうではある。もちろん、リソース保証されているのならば、VPSの仮想複数コアを提供しているサービスより性能が良くなる可能性もあるが(VPSは同居しているユーザー次第という側面もあるし)、その辺りは使い込んでみないと分からないかなと。
複数台の仮想マシン運用にも注意が必要。1契約で無料割り当てされるグローバルIPは1個で、それは契約に紐付く仮想ルーターに割り当てられる。その仮想ルーターからポートフォワードして各仮想マシンのサービスに振り分けるという方式なので、セキュリティ的にはVPSより安心できるものの(ファイアーウォールはデフォルトでdeny allっぽいし)、複数台の仮想マシンを作成してもグローバルIPは1個のため、VPSを複数台借りるという感覚では使えない。もちろんローカルIPは割り当てられるので、WebサーバーとDBサーバーを連携させて運用、といった用途では使いやすい。サービスの設計思想が表れている感じかな。
余談だが、テスト中に固定IPアドレスを追加し、それを削除した後に同じIPアドレス名(いわゆるラベル名みたいなもの) でIPアドレスを取得すると、パーミッションエラーが出て削除できなくなるという問題が発生した。数分内でIPアドレスを削除・再度取得という操作をした自分のせいである可能性も高いが、まだコントロールパネルやシステム周りに若干不安定な面があるのかもしれない。(サポートに依頼して削除してもらったが、対応は迅速で、依頼を投げてから1時間以内に解決した)
あとこれは気にする人の方が少なそうだけど、アダルトコンテンツは公開不可 なので、そういったコンテンツを公開したい人には向かない。転送量制限は外向きのみカウントで3,240GB/月まで無料。約3.2TB/月ですな。超過すると1GBあたり10円かかる。
IDCFクラウド対抗か、同じく月500円からのクラウドサービスを打ち出してきたGMOクラウド。自分も同社のVPSサービスを利用しているのでひいき目で見たいところではあるが、メモリ容量が512MBとIDCFクラウドの半分しかないのが残念。反面CPUは1vCPU 1GHz相当と、ややIDCFクラウドよりはよく見える。ルートディスク容量も20GBと5GBほど多め。ただしこちらはSSDとの記載は無いため、HDDだと思われる。
また、GMOクラウドではIDCFクラウドと違い、1仮想マシンに1つのグローバルIPが割り当てられるようだ。格安VPSライクに複数台使いたい場合は、GMOクラウドの方が向いているかもしれない。
ただ、このサービスでもスワップ領域はないようで、スワップ領域が必要ならデータディスクの追加またはスワップファイルの作成で対応する必要がある。ストレージがSSDではなくHDDである可能性が高いので、メモリ容量が少ないことを考えると、スワップアウトしたときのデメリットはIDCFクラウドより大きい気もする。
地味な点では、11月10日までに申し込むと無料試用期間が10日間もらえるとのことだけど、1万円無料キャンペーン中のIDCFクラウドには遠く及ばない。まああちらは新規サービスインのキャンペーンなので比べるのが間違っているけど、操作テストや動作チェックするには、もう少し長めの試用期間が欲しいかな。
転送量制限は、見積もりページによると無料とあり、無制限のように見える。まあ無制限といっても、限度と限界はあると思うけど。
最近ストレージをSSDにリニューアルしてきたServer Queen。数年前、@YMCの頃にここのマネージドVPS(当時はメモリ256MBだった記憶が) を仕事で使ってたけど、それ以降はどうなっているかほとんど知らないので(ドメインキングとかは少し使ったりもしたが)、ざっくり眺めてみた。
まず、利用料金が上記2社より安い450円(税抜)から利用できるのは、自分のようなケチなユーザーには嬉しいところ。メモリも512MBとGMOクラウドと同一で、ストレージ容量は40GBと倍。ただしここには罠があり、うち20GBはバックアップ領域となっているため、おそらく通常利用には使えないと思われる。もしそうなら、使用可能容量はGMOクラウドと変わらないことになる。(こちらはSSDだけど)
また、このサービスはOpenVZベースだと噂で聞くので、個人的に以前痛い目に合った経験からすると、積極的に使う気持ちにはあまりなれない。スワップ領域についての記載が無いのも気になる。あと、CPUコア数や周波数などについての記載も無いので、その辺りの情報も欲しいところ。(OpenVZってゲストへのCPU割り当て設定とかできたのかな。この辺りあまり知らない)
お試し期間は30日間あるので、じっくりとテストできるのはメリット。転送量制限は無制限と記載あり。まあ無制限といっても(ry。
最近大人気の海外サービスであるDigital Oceanも(情報はたくさんあるので今さらだけど) 参考までに。比較対象は5ドル/月のプラン。メモリは512MB・ストレージは20GBとGMOクラウド・Server Queenと変わらず。CPUは1コアとの記載だけど、割り当て周波数などの記載はなし。VPSだと記載が無いサービスも多いから、ベストエフォートでシェアされると考えればいいかな。
スワップ領域はないらしく、スワップファイルを作ることで代替できると公式でもうたっている 。また、試用期間はなく、即料金が発生するのはデメリットかな。月間転送量制限については1TB/月あるので、そこまで困ることはないと思われる。
サービスの質や安定性は、既に日本からも多くの方が利用されていることから、一定の信頼はあると思われるが、海外のデータセンターということで、国内の他サービスに比べるとネットワークの遅延が考えられる。あと、ちょうどいま円安傾向で、5ドルだと560円/月、さらに円安が進むとそれ以上のコストがかかるかもしれない点がリスクとしてあるかも。
IDCFクラウド以外は現時点で試用しておらず、Webサイトの内容を比較しただけなので、内容に偏りがある点についてはご了承いただければと。
ただ、スペックだけで比較しても、IDCFクラウドは1GBのメモリ・15GB SSDストレージを備えており、上では触れなかったけどサーバー監視ツールであるMackerelも無料で使えるという至れり尽くせりな内容。試用を開始したのも他社と比べてスペックがいい(そして1万円分クーポンがあった) からという理由なので、仮にこの中から一つ契約するとしたら、やっぱりIDCFクラウドかなという気はする。
もちろんIDCFクラウドにも、CPU負荷にどこまで耐えられるか不安・スワップ設定するとストレージ容量が不安(まあ別途2GBくらい月40円払って増やせばいい話だけど)・スペックアップすると月額費用がかなり高くなる(メモリ2GBにするだけで3000円アップはちょっと……)、などといったマイナス面はあるものの、とりあえず普通に一番安い仮想マシン1台だけで使うならクーポン使えば半年は無料で使えるみたいなので、興味がある方は14日までに登録・試用してみるのもいいかなと。
ちなみにIDCFクラウドのクーポンは月単位でなく日単位での適用なので、月途中で申し込んでもデメリットはない模様。月単位かと思って11月まで待ったのにな……。まあクラウドっていう時間単位貸しのサービスなら当然の配慮なんだろうけど、そういうちょっとした心遣いもありがたいね。(Webサイトには記載しておいて欲しかったけど)
ということで、もっと短い内容で終わるかと思ったら、思いのほか長文になってしまったけれど、最近の格安クラウドとVPS(主にSSD使ってるサービス) 比較でした。