ふと眠る前に飲みものでも飲むかと思って、台所へ行った俺を待ち受けていたもの。
黒光りするヤツの名は。
そう、黒い悪魔・ブラックホーク 英語でコックローチ、 日本語でいうところのゴキブリだった。
今日のヤツは素早かった。俺の手にする44マグナム(ゴキパオ) の放つ白い男の迸り 弾丸(溶剤) を右へ左へとかわしていく。俺の愛銃マグナム(ゴキパオ) は威力は強いが、いかんせん命中率がやや低い。広範囲にダメージを与えることができるマシンガン系(一般的な殺虫剤) と比べて、その点でやや劣っていると言えるだろう。また、弾痕(溶剤の付着) が大きく残るのもマイナスだ。その修理費用(掃除) に大きな労力を割かなければいけない。
しかしこの銃には大きなメリットも存在する。まずはその性能だ。かすりさえすれば、それだけで相手の動きを完全に止めることができる。そこへすかさず残弾を叩き込み、息の根を止める。このコンボは強力だ。ちなみに、この足止めには副次的な効果もある。通常のマシンガン(一般的な殺虫剤) では攻撃することで暴れ狂い、突撃してくるようなタイプの敵に多々遭遇することがあるが、これだとそれがない。十分な余裕を持って敵と対峙できるのは、精神衛生上非常に好ましい。
……おっと、話が脱線してしまった。そんなわけで、今日の敵は相当に素早く、俺の銃弾をかわして物陰に逃げ込んだ。しかしそこは百発三中(低っ!!) の腕を誇る俺のこと。即座にマグナムを打ち込む! 飛び散る銃弾。逃げるターゲット。次の刹那、ヤツの背中を捉えた俺は、再び引き金を引いた。
一瞬の静寂があった。そしてその張り詰めた空気が緩んだとき。俺は確信した。
「勝った……」
と。
失ったもの(掃除にかけた時間) も多かったが、得たもの(精神の安定) もまた大きかった。……だが、戦いなどというものは虚しいものだ。命をかけ戦い、そして片方が死ぬ。いずれは俺が狩られる(主にムカデに) 側になるのかもしれない。それでも、こうして戦いつづけるしかないのだろう。
お互いに、譲れぬものがある。自らのその信念を守るために、男たちは戦いつづけるのだ。
くりゅえる著
「Go-Killer」より抜粋
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