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Monthly Archives: 1月 2006

■ [考察] 楽天ポイント問題について考える

ここ最近話題となっている楽天ポイント問題。その経緯は各所で述べられているため、詳細は省くが、下記のような状況であるらしい。

楽天がポイントプレゼントキャンペーンで約3000p取得可能に

(ポイントはお金と同価値で利用できる)

但し、条件に該当しない人は対象外。だが!誰でも取れた。

複数のアカウントを作って、アカウントx3000p(円)で買い物

(規約に複数アカウント禁止とは「書いてない」)

要するにポイント内の買い物を実質無料でできる。

100アカウントなら、300,000円分(但し、アカウント同士合算できない)

今回、不正に取得したポイントを無効にして

買い物した分は請求する発表がなされた。

(以上、Mixiコミュニティより転載)

Mixiでもこの問題に関するコミュニティができており、活況を呈しているが、この事例をどう考えるべきだろうか。

まずはユーザー。本来自分が得られないはずのポイントを得られたからといって、それを使用することはやはり正しいことではない。しかし、それが正しくないことだと知らずにポイントを得てしまったユーザーもおり(どうやら特価情報サイトに一時掲載されていたリンクからポイントを得たユーザーも多いらしい)、一概に責められない事情がある。もちろん、この機を逃すなと多数のIDを使って買い物をしたユーザーの行動は責められてしかるべきであろう。

次に楽天。一律これらポイントを一部でも得たことのある全ユーザーの獲得ポイントを抹消し、のちに正規ポイント取得者のみ回復するという発表と通告をした。しかし、それはこのポイント取得方法が広く知られるようになってから10日近くが過ぎた後に為されたことであり、対応の遅れを指摘されても仕方がない。また、そもそも特定の資格者のみに配布するポイントであるなら、何らかの認証手段を用いてアクセス制限をするのが当然であり、システム面での不備もあった。

これらを踏まえて、今回楽天は、それらポイントを取得したユーザーのポイント剥奪・支払い請求という行動に踏み切ったわけだが、その行動自体の賛否や正当性についての議論もあるだろう。しかしこの考察では、楽天が正当にポイントを受け取ったとするユーザーと、不当に受け取ったとされるユーザーをどのように振り分けるのか、それを考えてみたい。

楽天はこのようなルールで正・不正を決定します、という基準が公開されていない以上、推測で書かざるを得ないが、現時点で既にポイント返却が行われているユーザーを見てみると、そのヒントが掴めるかもしれない。

現時点でポイントが戻ってきているユーザーは、

ANAマイレージカードを作成し、その会員番号と楽天ポイント通帳を楽天に登録し、ポイントを得たユーザー

であるようだ。調べていくうちに分かったのだが、今回の件で得られたポイントというのは、

・アクセスしてリンク先に飛べば、誰でもポイントを得られたもの

・ANAマイレージクラブの会員番号を登録する必要があったもの

・携帯からアクセスする必要があったもの

という3パターン存在したらしい。そのうち、ANAマイレージクラブの会員番号を用いて得られるポイントを取得していたかどうか、またその取得方法が正当なものであったかそうでないかが重要であったようだ。(ANAマイレージクラブの登録には住所などの登録が必須のため、本人確認が容易であるからと考えられる。楽天のIDは、取得だけなら住所記入の必要はない)

ANAマイレージクラブのポイント取得方法が正当なものかそうでないものか、と書いたが、このマイレージクラブの会員番号を利用しないと取得できないはずのポイントは、直接URLを入力することでマイレージクラブの会員番号を入力しなくても得られるものであったようだ(もしくは適当な会員番号でも取得が可能だったとも聞く)。則ちこの手法で得たポイントを持っているユーザーは、不正ユーザーと見なされると考えられる。

しかしそれ以外のユーザー、つまりANA関係のポイントを取得せず、他のポイントだけ得たユーザーはどんな基準で正・不正とするのか。また例えば、一人で複数、それぞれ架空の氏名などを用いて登録し、ANA関係以外のポイントしか得なかったユーザーIDは、正・不正どちらなのか。

もちろん普通に考えれば後者は不正だ。しかし、それを見分ける術はないに等しい。架空の人間を架空と見分けるためにも、それなりの労力を必要とする。今回の出来事で新規IDが大幅に増えたと予測されるが、その一つ一つに対して真偽を判断するのは容易ではない。人的リソースとコストから考えれば不可能といえる。

では楽天が今後取る対応はどうなるだろう。一番確度が高いのは、そのようなIDは軒並みポイントを失効させるだろうということだ。まとめると次のようになるだろうか。

・ANAに正規登録したユーザーで、同じANA会員番号で複数のIDのポイントを得ていない

ポイント復活(既に行われている)

・ANAに正規登録したユーザーで、同じANA会員番号で複数のIDのポイントを得ている(多重登録)

ポイント失効

・ANAに正規登録したユーザーで、別名(家族名など)・同一住所でANA会員番号を複数取得し、それぞれで複数IDのポイントを得ている

ポイント復活(既に行われたとの報告あり)

・ANAに正規登録したユーザーで、同一氏名・同一住所でANA会員番号を複数取得し、それぞれで複数IDのポイントを得ている

ポイント失効

・ANAに正規登録せず、ANAのポイントだけ得たID(ID数・期間問わず)

ポイント失効

・ANAのポイントを得ず、それ以外のポイントのみ得たIDで、登録されてからの期間が長いID

ポイント復活

・ANAのポイントを得ず、それ以外のポイントのみ得たIDで、登録されてからの期間が短い(先月末から今月取得した) ID

ポイント失効

これが現実的に一番ありそうな気がする。

システムの不備や対処の遅れ、不誠実な対応など責められるべき点が楽天に多いのは確かだ。しかし現実問題として、楽天の考える正規利用者でないユーザーに罰則が課せられるのも確かだろう。

かといって楽天を擁護することはできない。正規ポイント取得者とそうでないものという楽天側の考える基準を一切公開せず、独断で正規ユーザーかもしれないユーザーまで不正ユーザーとして切り捨てる可能性があるからだ。

また、まずは全ポイント取得者を悪とみなし、それらのポイントを没収してから正規ユーザーだけに戻すというやり方も誉められたものではない。このような場合、まずは確実に不正とみなされるユーザーを罰していく、Allow-Deny が正しいのであって、Deny-Allow というルールを用いた今回のケースでは、様々な反発が起こるのは当然だ。誰だって自分が犯罪者扱いされては気分のいいものではない。特に今回、何も知らずにポイントを取得してしまったユーザーが特にその思いを強くしているだろう。

今回のポイント取得問題は、正規と不正という枠が曖昧で、それを厳密に適用するとなると各所に歪みを起こしかねないものである。そうなったそもそもの原因は楽天のシステムの問題であり、それによる問題をユーザーに転嫁させたと言われても仕方ない。楽天としても損害を出さないよう、またユーザーにも誠実であろうとする苦肉の策であったのだろうが、初動の遅れと対応の悪さは、多くのアンチ楽天を作り出してしまったようだ。

今後楽天には、さらなるシステムの改良と、ユーザーに対してより誠実な企業となるよう努力していただきたいものである。

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