この記事は友人に届いたアパマンショップからのメールを発端とし、その後数回に及んだメールのやりとりを元に構成しています。内容は全て事実をもとに構成しておりますが、なにぶん友人が関係したことですので、私にひいき目があることも否定できません(もちろんできる限り公平な目で書いたつもりですが)。その点を踏まえてお読みいただければ幸いです。
本文が長いので、あらすじを用意しました(笑)。ざっくり言うと、以下のような感じです。
あらすじも長くなってしまいましたが、おおむねこんな感じで間違いないかなと。それでは本文は以下から、はじまりはじまりー。
スポンサードリンク
ある日突然、友人の元にアパマンショップ Webプロモーション部 X氏から、リンク削除のお願いと題したメールが届きます。その内容を要約すると以下のようなものでした。
あなたのサイトから、アパマンショップに対してリンクが張られている。Google Webmaster Guidlines において、昨今リンクに対する規定が厳しいため、リンクを削除して欲しい。
実際の文面は丁寧なビジネスメール調でしたが、内容は本当にこれだけ。実際のメールを見せてもらいましたが、ビジネスメールに必須の挨拶文を除くと、メール本文はたったの4行。そのまま掲載しても文字数はそんなに変わらないくらいです。(メールは私信なのでそのまま引用はしませんが)
これに対して友人は、複数のサイトを管理・運営していたこともあり(もちろんそれをWebサイト上で公開している)、どのサイトのことかすら書かれておらず、利害関係のない自分に作業を丸投げしてきたことに対してイラッとしたそうです(笑)。文面だけ丁寧でも、こんなメールが真面目にサイトを運営している人に送られてきたら、たいていの人はそう感じるんじゃないでしょうか。
友人が怒りを覚えた理由は他にもあり、それには技術的な話も絡んでくるのですが、その辺りは次項の友人から送った返信メールにて触れます。
題名では1通目としていますが、正確にはこのメールを送る以前に1通メールを送っており、2通目の内容となります(ちなみにそのメールへの返答は1週間なく、そのため再度メールを送ったとか)。ただ友人も、最初のメールは出先で急いで書いたもので、本意が伝わらなかったのかもしれないので、その点でアパマンショップ側を責めるつもりはないとのことでした(それでも何らかのリアクションくらい返すのがビジネスマナーだとは思いますが……。特に今回のような事例では)。
話がそれましたが、友人が問い合わせた内容は以下のようなものでした。
複数のWebサイトを管理しているため、アパマンショップ側が問題としているサイトが不明である。調べた限り、Aというサイトがそうではないかと思うが、間違いないか。
そもそも、利害関係のない相手に対し、問題点の指摘もせず一方的な依頼を行うのはいかがなものか。Webmaster Toolsには「リンクの否認」機能もある。そのような対策を行ってなお、問題が解決しないのであればこちらで作業を行うこともやぶさかではないが、そのような説明もないのはどういうことか。利害関係のない人間に対し、説明もなく作業を強いることは、他者にアパマンショップが負担するべきコストを負担させていることになるが、その点についてはどう考えているのか。
技術的には、アパマンショップをはじめ、外部へのリンクは内部リンクのような張り方になっている。外部リンクを多数張っているときにWebmaster Toolsに表示される警告などは出ておらず、Googleとしても当サイトのリンクは内部リンクと見なしているものと考えられるが、そのような動作を確認した上で、リンクの削除メールを送っているのか。
だいぶ友人もヒートアップしていたらしく(笑)、相当な長文メールでしたので、かなり要約しておりますが、おおむねこんな感じの内容でした。
技術的な部分に触れますと、まず、Googleのウェブマスター ツールにおいては、「リンクの否認」機能があります。これは、特定のドメインやWebサイトなどからのリンクを否認することで、そのドメインやWebサイトからのリンクをSEO的に「無効にする」という機能です。
昨今はネガティブSEOといって、ライバルのWebサイトに価値のないサイトやリンクファームと呼ばれる、リンクをお金で販売しているサイトからリンクを張らせ、検索順位を下げさせるという手法が存在します。Googleが賢くなり、リンク元の価値を判断して、その価値が低いところからのリンクはマイナス評価するというやり方を行い始めてから、搭載された機能です。
インターネットの性質上、他人が張るリンクまでは制御できないことから搭載された機能ですが、これを利用すれば他者にリンク削除の依頼をしなくとも、自社内で対応が可能であるため、友人は既にそれを実施したのか否か質問しています。
二つ目の技術的な部分、外部リンクを内部リンクのように~ という部分ですが、こちらはコードで書くと、
<a href="move?id=123456789" data-url="http://www.example.com/">リンク先</a>
このようなコードになっていました。上記の例では、内部データベースに id が 123456789 という項目があり、その id には http://www.example.com/ というデータが紐付けられていて、リンクをクリックすると、内部でidを判別し、http://www.example.com/ にジャンプする、という内容です。
data-url については、例えばTwitterでの投稿時にURL短縮サービスを使った際、元々のURLが表示されるという機能がありますが、それと同様のことを実現するために用意された項目です。(データ属性といいます)
Googleがこのデータ属性についてまで、リンクと解釈しているかどうかについては、意見が分かれるところだとは思われますが、友人の解釈としては href で内部のアドレスを指定しており、その後リンク先アドレスに遷移するため、Google ウェブマスターツールの警告もないことから、内部リンクだと判断しているとのことでした。
この挙動については、Google Chromeの開発者ツールなどを使えば確認が可能で、それを行った上で、何らかの根拠があり、内部リンクではないと判断したのかどうか、という技術的な理解があったのかどうかを、友人は質問しているわけですね。
個人的には、今回のような失礼なメールが自分に届いたら完全無視だし、よく友人はここまで長文を書いてまで、いわば売られたケンカを買ったなーという気はしたのですが、友人いわく「自分のサイトがネガティブSEOとかリンクファームと思われることにもムカついたけれど、何より大手企業が横柄に中小Webサイトに対して要求を突きつけていると感じ、SLAPP訴訟問題を思い起こさせた。カッとなってやった。いまも反省していない(笑)」とのことです。
待つこと数日、アパマンショップ Webプロモーション部 X氏からメールが届きました。その内容は以下のようなものでした。
Googleのアルゴリズムは非公開であり、Googleのガイドラインも行間を読む必要がある。よってアパマンショップでは、その内容を推測し、ガイドラインの違反を防ぎたいために、神経質ともいえるくらいの対応を行っている。リンク削除の依頼はその一環だ。
ウェブマスターツールによるリンク否認だけでは、不測の事態が発生した際に不足という考え方がある。また、リンクの否認を行うことで、逆にそちら(注 : 友人のサイト) に迷惑をかける可能性もあると考えている。(注 : つまりリンクの否認は行っていない?)
リンク削除の対象の記載漏れ・説明を行わなかったために、手間をかけたことについてはお詫びする。ただし、アパマンショップ側で行うべき努力を怠ったためではなく、見識が不足していた(注 : 内部リンクの話など、技術的な指摘に対する返答と思われる) ためであり、そこは了承されたい。
先に送ったメールは忘れてくれて結構である。
注は私が追加したものです。また、アパマンショップ側の名誉のために付け加えると、内容はビジネスメール然とした内容で、丁寧な書面であったことは付記しておきます。しかしながら、それを踏まえた上でも自社の都合ばかりを強く主張している内容と感じられました。
私がそう思っただけあって、友人もその夜のSkypeで相当荒ぶっておられましたが(笑)、そこで友人が指摘していたのは、あらすじにも少し書いたとおり、
で、荒ぶる友人は速攻でメールを書き上げて返信したそうですが、その内容は次で。
上記のようなメールを受け取り、怒り心頭な友人が再度送ったメールは以下のような内容でした。
メールに返信いただいたが、こちらの質問に答えていない内容である。そもそもアパマンショップ側で問題と考えているサイトは A で間違いないのか。また、利害関係のない他者に無償で作業をさせようというのに、どのサイトのどの部分が問題かすら指摘しないのは、社会人としてのマナー・常識に照らしてどう考えているのか。
アパマンショップ側の利益のために、他者が制作したWebサイトに対して口を出すという行為は、表現の自由・財産権の侵害であり、他者にコストを押しつけるという不法行為といえるが、アパマンショップのコンプライアンスではそのような行為を妥当と考えているのか。
Googleの非公開アルゴリズムを推測しての対策という、信憑性が不明な手探りの対策を行う前に、Google自身が効果を保証し、提供しているWebmaster Toolsでの対応や作業を行う事が先ではないのか。それを行わないまま、他者に作業を丸投げするという方針は本末転倒ではないか。アパマンショップはユーザーではなく、Googleの方を向いてサイト運営を行っているのか。
しかしながら、アパマンショップ側の意思に沿わず、リンクを掲載し続けることは本意ではない。全てのリンクは削除する。
最後の段でリンク削除を申し出た理由として、友人は「もうアパマンショップとは縁を切りたかったし、対応が面倒になってきたから」と言ってましたが、これがアパマンショップ側の戦略(わざと怒らせて、相手に自らリンクを削除させる) だったとしたら、なかなか高度な戦略ですね。友人から見ると、まんまと策にハマったともいえますが(笑)。
そしてこのメールに対しての返信は、速攻で届いたそうです。リンク削除を申し出たのが効いたのでしょうか(笑)。
1通目の返信(3日程度) より早く届いた2通目のメール(2日程度)、かかった時間が短いだけに、1通目の内容よりひどいものかと友人も身構えたそうですが、顧客対応部署か法務あたりのチェックを受けたのか、内容は一番まともでした。(といっても、普通のビジネスメールだな、くらいの内容でしだが)
削除対象となるWebサイトや削除の理由など、伝えるべきであった内容を記載していなかったのはこちらの落ち度だった。誠に申し訳ない。
今後ともアパマンショップは、Googleガイドラインを正しく理解するように努め、Webサイトの改善を試行錯誤しながら続けていく。
リンクの削除をいただいたことに感謝する。
試行錯誤はいいけれど、他人に迷惑をかけない範囲でやってくれてれば、友人もメール対応に時間を割かなくて良かったんだろうなーと思いましたが、今後はその辺も考慮してくださることでしょう。アパマンショップといえばそれなりに名の知れた企業ですから、吐いた言葉に違うようなことはしないでしょうし。
友人からはこのメールに対して、なぜここまで各項について何度も質問したか、説明するメールを送ったとのことですが、礼儀としての説明と挨拶だし、自分としてはこれで終わりにしたいと連絡を受けました。その意に従い、この記事でのまとめもこのメールまでにしております。
アパマンショップへリンクを張っていると、このような事態に巻き込まれる可能性があるので気をつけましょう。どうしてもリンクを張る場合は、rel=”nofollow” を使用したり、ime.nu をクッションページとして使った方がいいでしょう。(そこまでやったとしてもソースコードを見ずに連絡してきたり、Googleのアルゴリズムを独自に解釈した結果として、消せと言われる可能性もありますが)
個人的には、過去にアパマンショップのフランチャイジーに手数料として、支払う必要のないお金を巻き上げられそうになった(その後交渉して取り戻しましたが) こともあり、あまりいい印象がなかったのは事実ですが、あくまでそれはフランチャイジーの問題であり、アパマンショップ本体についてはネガティブな印象はありませんでした。しかし、今回友人に届いたメールを見る限り、フランチャイジーがフランチャイジーなら、本社も本社だなと思うようになりました。
言うまでもないことですが、ビジネスの世界では社員一人一人が会社の代表と同義です。一人の対応が、会社のイメージを致命的なまでに失墜させることがあります(バイトテロ然り)。今回はまさに他山の石として、私自身も気をつけないとと思う内容でありました。
今回はアパマンショップでしたが、他にも同様のクレーム・問い合わせを行っている企業等があるかもしれません。海外の事例では、ネガティブSEO対策でリンク元にリンク削除を依頼することで成果があった、というレポートもありますし、その行為を否定するわけではありません。自社だけで解決が不可能であれば、他者に働きかけなければいけないこともあるでしょう。
しかし、そういったリンク元サイトを運営しているのも人間です。きちんとした情報を提供した上での依頼でなければ、今回のように怒りを買い、逆効果となってしまうでしょう。Webマスターの皆様におかれましては、人として当たり前のレベルで結構ですので、「人には礼を尽くす」という事を忘れず、サイト運営を行っていただきたいと切に願います。
スポンサードリンク
当サイトのコメント欄は承認制となっております。また、日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)
コメントを残す