下記「JASRACの考察」が長くなりすぎたので、全てお休みします(^^;)。昨日の日記の続きはまた後日に(^^;)。
参考URL:
友人から、昨日の日記に書いた 「飽きキタニュース」へのコメント云々 ってどこのコメントについてどうおかしいのか教えろやゴルァ! という連絡が来まして。彼いわく「お前の話はつまらん! 表現が曖昧だから、何について言っているのか分からない」とのことで、詳しく説明しろ、と。口で言っても上手く伝わるかどうかアレだったので、ここでその件について書いてみることにしました(ここなら他の友人に説明する手間も省けますし(笑))。とはいえそれだけ載せたらただの反論の応酬で不毛この上ないので、JASRAC全体について言いたいことなんかもありますし、そういったことをまとめてみることにしました。
で、まず指摘いただいたのは 「愚者の戯言」様。私の日記 10/30 のニュース(JASRACが名古屋のライブハウス/クラブに著作権料請求) に付けた下記のコメント
またも出ました、音楽関係の膿のひとつ、JASRACの金せびり。以前話題になった、個人が無料で運営しているMIDI配布ページからも金を徴収するってのも行き過ぎかなとは思いましたが、今回のもなかなか。詳しくは読んでもらわないと伝わりにくいですが、斜陽産業にしがみついて金を何とか吸い出そうとする亡者に見えて浅ましいと感じますね。CCCDに関しても、レーベルのご都合をユーザーに押しつけ、その上プロテクトの意味もなさないほどの体たらく。しかも音質も悪い。よって俺はCCCDは絶対に買わないと決め、事実買ってません。かといってレンタルもしてません。何を聞いてるかといったら同人音楽とか、アニソンとか(笑)。あと好きなバンドはCCCDじゃないので買ってますが、このバンドもCCCD採用したらたぶん買わないでしょう。auの件でも分かる通り、自分は損得より感覚・感情で動いていますので(笑)。
に対して、
MIDI も上げてるけど、権利意識は本当にあるのか考える内容。MIDI というフォーマットではなく JASRAC の管理楽曲の配布であることが問題であることはわかっているのでしょうか?/CCCD に関しては JASRAC ではなくレコード会社がメインでしょう。というか JASRAC は CCCD にかかわっているのか謎。その辺りも混同してません?
とのコメントを頂きました。まあ「腹が立った方々」というのにノミネートされているのは別にどうでもいいのですが(笑)、元々の私がニュースに付けたコメントでは、第三者からはそう見えても仕方ない内容だったため、ここで補足してみます。
まず、「愚者の戯言」様のコメントを主張ごとに分析すると、
という2点に集約すると思われます。
1. につきましては、私の言葉が足りていないためそう考えられても仕方ない部分もあります。この部分で私が主張したかったのは「MIDIフォーマットに対するJASRACの姿勢」ではなく、仰っている通りの「JASRAC管理楽曲を、個人がMIDIデータ化して配布していた事に関してのJASRACの姿勢について」です。
法に照らせば、JASRAC管理楽曲を、仮に自分でMIDIデータ化していても広く公開する事は、個人であろうとなかろうと「いけないこと」でしょう。ですが、私の姿勢としては、「非営利かつ個人」でのJASRAC管理楽曲のMIDI公開については、その利用料を免除するか、もしくは限りなく低廉にするべきと考えます。この使用料免除・低廉化はJASRACの決断によって「可能なこと」であり、そうすれば、MIDIデータの公開は法に照らしても合法です。(権利者による許諾と考えられるため。厳密には著作権者の許諾も必要かも知れませんが、その辺りの雑務はJASRAC管轄でしょう)
その理由としては、音楽は「文化」であり、何事も創作は「模倣」から始まると考えるからです。陶芸しかり、絵画しかり、そしてもちろん音楽もしかり。私もギターを始めた頃は、バンドの曲を耳コピしたりして(あまり上手くできませんでしたけど(^^;))、上手く弾けるよう練習したり、自作の曲を作る参考にしました。そしてそうやって練習し、多少身につけた曲(この場合耳コピした曲) は、友達や知り合いに聞いて欲しいですよね。で、下手くそながらも友達の前で演奏したりして…。それはDTMの世界でも同じだと思うんです。インターネットの爆発的普及により、その聞いてもらう「友達」が、全世界的にできる、っていう点が違うだけで。
多くの「個人かつ無料」でJASRAC管理楽曲のMIDIデータを配っている方々は、そういう、「自分の制作したMIDIデータを聞いてもらいたい」とか「自分の実力を(公開し批評されることで) 知りたい」という人が多いと思うんです。もちろん自分の敬愛するアーティストへの愛情表現の一つでもあるでしょう。そしてそのような行為を無償でする人というのは、たいてい「音楽が好きな人(次世代のアーティストになりうる人)」です。
しかしJASRACは、そのような「次世代アーティストの卵」の芽を摘むような行為に出ました。それが上記コメントでも触れた「課金問題」です。この件については詳細を省きますが(参照URLの 「ネット交流文化を守ろう」様 にこの経緯が説明されています)、この設定金額が「年間10曲まで1万円」などというもので、一個人が出すにしては高額だと思います(特に駆け出しアーティストなんてみんなたいてい貧乏ですし(笑)。偏見かもしれませんが(^^;))。
つまり、私のコメントで「個人が無料で運営しているMIDI配布ページからも金を徴収するってのも行き過ぎかなとは思いましたが」と述べたのは、ここまでの経緯をふまえた上での発言です。そしてこの問題に対する私の考えとしては
となります。もちろん利用申請を出す形にして、誰がどんな曲を公開しているか、といった管理をするのはいいでしょう。その程度の制約なら、MIDIを公開するユーザーも納得するでしょうし。ですが、現状の価格では、やはり「JASRACは権力を笠に着て大金をせしめている」と思われても仕方ないと考えます。
ただ、一部の動きとして、@nifty会員であれば無料でJASRAC管理楽曲でもMIDIデータを公開できる(参照URLの JASRACの著作権使用料フリーでMIDIデータを公開できるサイト @niftyの「MIDIフォーラム」が楽器メーカーの協力で実現 を参照) ような動きもあり、ユーザーの立場としては、無料でJASRAC管理楽曲を公開できるところも出てきたようです。しかし、これはローランドとヤマハがその代金を立て替えることでDTMユーザーを支えている形ですので、根本的な解決にはなっていないのですが。
では 2. のCCCDについて。これについては本来はJASRACの話とは別の、余談として書いたものだったのです(^^;)。しかし、ご指摘である「JASRACとCCCDの関わりについて」ですが、ソースは失念したものの、CCCDが登場した当初から「JASRACがCCCDを推進するよう、各レコード会社に働きかけている」という話は聞いていました(記憶では何かの雑誌に書いてた気がしますけど)。最近の例では、参照URLの「JASRAC、平成14年度業績説明会を開催」にて、明らかにJASRACはCCCDを推進しているという発言があります。その部分は
また、補償金収入が落ちていることについては、「MDレコーダの一巡で、ハードの販売台数がとどまっており、MD販売価格が落ちていて、マイナス成長である」という。また、「もっと大きい問題は音楽用で無い(補償金の適用除外となっている)CD-Rへの録音」とし、「こういった問題を放置しておくわけにはいかない。CCCDやレーベルゲートなどの導入を進めているが、導入していないソフトも出ているのが現状で、権利者同士で話しあっている。文化審議会でもそうした私的録音制度の検討会も始まっているので、そこで話を進めていきたい(細川英幸理事)」と今後の方針を語った。
です。一応JASRACもCCCDに関わっている、と見ることはできますね。
ではここからはJASRACとCCCDの関わりをさておいて、私がCCCDに関して憤りを感じる点を書いておこうと思います。まず一番は「音質を悪くしている」事。これは私の考える「音楽は文化」という観点からも、また一リスナーとしても許容できません。たとえば絵画で考えると、精巧な贋作でもやはり本物との違いがあります。それを見た人は「多少細かいところが違っても、だいたい同じ絵ならいいじゃん」なんて言うでしょうか。音楽も同様です。アーティストが苦心して生み出した楽曲を「細かい部分で音が悪いけれど、まあいいや」なんて、アーティスト自身が思うでしょうか。リスナーが思うでしょうか。このCCCDは、リスナーだけでなく、アーティストに対しても侮辱に当たるのではないかと思います。しかもそんな弊害をもたらしながら、実質プロテクトとしての役割を果たしていません。最近は多くのライティングソフトやツールでリッピング可能です。
また「再生させた機械を傷める」事も重大な問題です。事実、オーディオメーカー・PC用ドライブメーカー共に、CCCD完全対応と謳っているドライブはほとんど無いはずです(確かカーオーディオの中にはあった気もしますが、未確認です)。しかもCCCDを再生したことにより、ドライブが壊れたとしても、メーカー・レコード会社とも一切の保証はありません。もちろん頼めば有償修理は可能でしょうけど、メーカー保証期間中でも有料になる可能性が高いです。この点でも、リスナーを馬鹿にしているとしか思えません。
上記のCCCDに対する批判はすでに語り尽くされた感もありますが、今回改めてJASRACとの関わりを調べてみると、JASRAC自身も補償金収入を得るために、このようなマイナス面の多いCCCDを推進しているという事実がありましたので、敢えて書き起こしました。
で、まとめです。長々と書いてきましたが、今後JASRAC、ひいては音楽著作権管理団体はどうあればいいのか。上記までとは逆に「愚者の戯言」様に お褒めいただいた、10/31 のニュース (「JASRACが名古屋のライブハウス/クラブに著作権料請求」その後) に付けた私のコメントを引用します。
いわば旧NTTのようなJASRAC独占状況が問題ってのはみんな分かってる。ではどうすればいいのかというと、やっぱりこういった業種にも競争原理を持ち込むしかない。旧NTTには旧DDIなどが長距離通話のみだったとはいえ存在し(現在は市内なども含め競合していますが)、ドコモにはセルラー(現au)などがいて競争し、それによって価格が下がりサービスが向上してきた歴史があるわけで。ただ、JASRACには競合がいない。正確にはいるけれども、未だ脆弱で相手になっていない現実が問題、と。こればかりは旧NTTにしたように、法律による縛り(NTT法)・省庁からの命令によって活動を制限、または管理アーティストの開放などを進める、なんて方法もあるわけですが。ただ、こういった著作権管理っていうのを国に任せるのはどうかなとも思いますし、事実任せない方がいいんでしょうが(笑)、ここまで大きくなりすぎた団体に対する規制ってのも必要なんじゃないかとは思います。少なくともこの場合、音楽という「文化」を扱っているJASRACが「暴君」として君臨し続けるという状況は、決して「文化」という側面から見た場合マイナスにしかなり得ないと思いますので。
ここで述べたような
という将来像が理想と考えますが、すぐにこうしたドラスティックな変化が起こるとは思えませんので、JASRACがこのまま君臨し続けるにしても、MIDIについて書いた部分
といった、小さな改革をはじめとして、
組織としての透明性を上げる努力をするべきでしょう。(透明性に関しては、上記の「競合を作って?」の場合も同様ですが。各社透明性を保って競合させる事が必要でしょう)
以上、本当に長くなりましたが、「愚者の戯言」様に頂いたコメントに一部返信する形を取り、JASRACについていろいろ書かせて頂きました。もともとのニュースとして取り上げた、ライブハウスの問題については全く触れてないですけど(^^;)、最後に少し触れるなら、この問題はいわば「サブマリン特許問題」に近いものを感じました。サブマリン特許は、アメリカでは出願中の特許が一般に公開されないために起こる問題ですが、このJASRACの件についても「広く公開する広報・啓蒙活動が足りなかった」ために起こったことといえるでしょう。JASRACにはその辺りの広報を徹底するとともに、その請求として算出した金額が本当に妥当なものなのか(一律毎月いくら、という金額の算出方法が一番妥当であるのか否か)、考えて欲しいと思います。
最後になりましたが、JASRAC問題についてこのように深く考察するきっかけを与えて頂き、またどんな文章についても詳細な説明と考察を忘れてはならないことを、改めて教えて頂いた「愚者の戯言」様に感謝いたします。
スポンサードリンク
当サイトのコメント欄は承認制となっております。また、日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)
コメントを残す